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近藤教授が「学会賞」受賞

 

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児童学科の近藤雅雄教授は生命の根源物質であり、バイオサイエンス分野で重要な「ポルフィリン-ヘム」研究領域で、独創的かつ学術的な研究成果を挙げ、保健、医療、福祉分野に大きな貢献をしたことから、平成25年度ポルフィリン-ALA学会にて学会賞を受賞し、427日(土)、東京工業大学のすずかげ台キャンパスすずかげホールにて「ヘム生合成調節機序と代謝異常」と題して受賞講演が行われました(写真は学会長の大倉一郎
東京工業大学名誉教授からの授賞記念写真)。

 

 生命の根源物質である5-アミノレブリン酸(ALA)からポルフィリン、ヘムが生産され、ヘムからビリルビンが生産される全代謝過程が明らかになりました。ポルフィリン環の中心部分に鉄(Fe)やマグネシウム(Mg)などの金属原子が配位(キレ-ト)すると、酸素の運搬や光合成など生命維持に不可欠の反応を行います。プロトポルフィリンにFe2+がキレ-トした赤い色素「ヘム」は生命のエネルギー(アデノシン三リン酸)生産に不可欠です。さらに、赤血球中のヘモグロビン、赤筋中のミオグロビン、肝臓中のチトクロ-ム、カタラ-ゼ、ペルオキシダ-ゼ、ジホスホエステラーゼ等々の作用基として、酸素の運搬・貯蔵、電子伝達、酸化還元、薬物代謝、代謝調節など生命維持の中心的な反応に携わっています。また、新しい脳の神経化学伝達物質や血管拡張物質などとして注目されている一酸化窒素(NO)を合成するNO合成酵素やNOの標的物質であるグアニジルシクラ-ゼさらにセロトニンを生産するトリプトファンピロラ-ゼもヘム蛋白質です。いずれも、これらの反応の中心はポルフィリン環であり、その大型のπ電子共役系の中で行われる高効率のエネルギ-変換反応です。ポルフィリンは26π電子共役系におけるπ電子の遷移に基づいて、紫外~可視波長領域に強い吸収スペクトルを持つ赤色物質で、暗室にて遠紫外線を照射すると、美麗な赤色蛍光を発します。

 このように、ポルフィリンは重要な生命物質ですが、逆に体内に蓄積したりすると難病ポルフィリン症のように光毒性、肝障害、精神・神経障害、内分泌障害、循環器障害など多彩な症状を引き起こします。しかし、この機序を利用してがんの診断・治療やポルフィリンの物理化学的特性を応用した分子光機能材料の開発など、新しい研究開発が多領域で行われるようになりました。

 

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